受験(ARE,FARE科目合格)体験記(1998年11月)


<1年半ぶりの受験>
 アラスカ州で3回受験した私は、科目合格も出来ないまま、受験資格を失ってしまいました。
 そこで、「一から出直し」ということで、大阪学院大学の通信教育部で必要な会計単位を揃え、何とか再びイリノイ州で受験資格を獲得しました。

 受験資格の確認通知が届いたのが98年6月。さあ、勉強再開です。早速、夏のボーナスの一部を使って、TACのアプローチコースを申し込み、6月20日から、ビデオブースでの受講を始めました。
 ちなみに、申し込んだのは、FA1、FA2、AdvancedFA、Non-Profit Accounting、TAXの5講座です。つまり11月の試験は、AREとFAREの2科目合格狙いとした訳です。
 「前回の97年5月から勉強再開までの約1年間は何をやっていたのだ・・・」と言われそうですが、その間は、上述の大学の勉強や他の資格の勉強をやっていたため、正直言ってUSCPAの勉強は全くのブランクでした。

<関空からデトロイト、そしてシカゴへ>
 6月から勉強を再開した私ですが、ほとんどTACの授業をこなすだけの状態で、11月を迎えました。(渡米当日の午前中にTAXの最終授業のビデオを見たというぐらいで、まともに復習する暇もありませんでした。)
 空港へ向かうラピートで「最後の悪あがき」をするつもりでしたが、なんと車内で大学時代の知人にバッタリ会ってしまいました(彼は今、某マスコミのソウル支局勤務だそうです)。おかげで、最後の悪あがきは、飛行機に乗るまでおあずけです。
 渡米の航空会社は今までと同じノースウェスト便でしたが、関空からシカゴへは直行便がありませんので、デトロイト経由になります。しかし、デトロイトまでは結構遠く、かなり乗り物疲れをしました。おまけにデトロイト−シカゴ間も時差があるため、疲れに拍車がかかります。でも、何とか(既に半分こなしていた)FAREの問題集(USEN発行の94、95年分の過去問題集です)を全部やり遂げました。

<シカゴにて>
 シカゴのオヘア空港に着いたのは、午後5:00頃でした。一足先にシカゴ入りしていた受験仲間のF氏と6:00に待ち合わせをしていたので、すぐにタクシーでダウンタウンに向かいました。
 ダウンタウンまでは、高速道路が走っていて、渋滞がなければ30分もかかりません。料金はチップ込みで$40ドルぐらいでしょうか。途中でダウンタウンの摩天楼群が見えてきたときは、「ああ。今度は都会で受験できるのがうれしい」と妙なところで感激しました。何しろ前回はフェアバンクスですからね・・・。
 私の宿泊したホテルは、「ホリディ・イン・シティセンター」で、1泊2万円以上します(シカゴのホテルは結構高いです)。約25階建ての日本の基準からすれば高層ホテルでしたが、シカゴでは全然目立ちません。部屋はまずまずですね。
 夕食は、待ち合わせたF氏と一緒にステーキを食べに行きました。これが分厚いの何のって・・・とても食べきれず、残りはドギーバッグで持ち帰り、翌日の昼御飯となりました。

 翌日(試験前日)、疲れと時差ボケでなかなか起きあがれません。そのうち、掃除のサービスが来ましたが、とにかく眠いので、「サービス、ノーサンキュー」と言ってまた一眠り。結局午後2:00近くまで寝ていました。その後、朝御飯を食べながら、WILEYで公会計の部分の問題を約1時間ぐらいこなした後、市内に散歩に出かけました。
 何はともあれ、有名なシカゴ美術館へ行きましたが、2時間ぐらいでは全体の10分の1ぐらいしか見ることが出来ません。「また5月にゆっくり見に来るぞ」と思いながら、美術館を後にしました。そして、ちょっとショッピングをした後、昨日に引き続いてF氏と合流しました。
 F氏とは、まず、試験会場のマーチャンダイズ・マート(写真)の下見をしました。CPA試験を翌日に控え、既に張り紙や案内看板(写真)が至る所にあり、5月試験の経験者であるF氏が、「明日になると、この廊下にズラッと受験生が座り込んで勉強をするんです。」といった解説をしてくれました。ギュっと気が引き締まる思いがしたのを覚えています。

   

 夕食は、シカゴ名物のスタッフド・ピザでした。美味しかったですね。昨日に懲りて、小さめのピザにしましたので、今回はボリュームもちょうど良かったです。

 ホテルに戻って勉強再開です。実はこの時点では、シカゴに到着後1時間しか勉強していません。最後の悪あがきも遅れ気味です。
 本当は、翌日1時間目のLPRに備えて、手つかずのProfessional Responsibilitiesの勉強を予定していましたが、勉強が遅れているので、昼間に引き続いて、公会計の勉強を2〜3時間しました。

<試験当日>
 さて試験当日です。会場までは2kmぐらいなので、歩いて行くことにしました。昨晩やり残したWILEYのProfessional Responsibilitiesの部分を片手に、勉強しながら歩いていったのですが、大してこなせませんでした。
 会場に付くと、前日F氏の言ったとおり、1Fの廊下にズラーっと受験生がしゃがみ込んで勉強しています。その中を歩いて行くと、係員が白い大きな手提げ袋(写真)を配っていました。コートや参考書はその袋に入れて1F端のホールに預け、受験生は受験票や筆記道具等の最低限のものだけを持って8Fの受験会場に上がることになっています。袋を預けてしまうと、もう勉強は出来ないので、皆1Fの廊下で最後の追い込み勉強をしているというわけです。

 私もしばらくしゃがんで勉強をしていましたが、ザワザワしてなかなか集中できません。気休め程度の勉強だけをして、袋を預けにいきました。
 袋を預けるホールは一言で言えばただのだだっ広い部屋で、そこに何千もの袋が番号順に並べられています(写真)。預ける時だけは受付の係員がいますが、受け取るときは(昼休みや試験終了後)、自分自身で部屋の中に入って、番号札の半券を頼りに袋を探し出すことになります。(したがって、貴重品は絶対に置いておけませんね)

 8Fは1フロア全部が試験会場になっています。あまりにも広いのでキョロキョロしていると、係員が声をかけて、「あなたの部屋はあっちの方だ」と教えてくれました。部屋の入り口にも係員がおり、持ち物のチェック(パスポートはチェックされませんでした)をします。本当は透明の袋を持参して筆記用具等を持ち込まなくては行けなかったのですが、私はつい忘れており、代わりにスーパーの白い袋を使っていたので、出入りの度に「袋の中を見せてくれ」とチェックを受けるはめになりました。
 席は、一つの机に2人がすわり、間に大きな衝立がありました。はっきり言って机・椅子ともにボロで、これで長時間受験するのは結構つらいものがありました。
 イリノイ州では、キャンディの類は持ち込めますが、飲み物は駄目です。その代わり部屋の中に給水器があって、自由に飲むことができます。ただし、その場で立って飲まなくてはならず、席に持ち帰ることは出来ません。紙コップも底が尖っており机に置けないようになっていました(写真)。

<初日の試験>
・LPR
 初日の午前中は、いつものとおりLPR(ビジネスロー)です。
 今回は、科目合格を狙ってはいませんでしたので、勉強も「アメリカのビジネスロー」を1回読み、試験当日にProfessional Responsibilitiesの部分のWILEYをちょっとやっただけでした。
 試験前の注意事項のアナウンスは放送で行われました。住所変更があった場合は12月中に連絡すること、等の注意事項もアナウンスされました(注:私は12月に引っ越しをしました)ので、結構長かったです。そして、アンカレッジ会場と同じように"GOOD LUCK"と言われていよいよスタートです。
 しかし、疲れと時差ボケのせいでしょうか、何か体が重く感じられ、いつものようにMCを解き進めることが出来ません。また、勉強不足であやふやな解答しかできなかったものも多く、かなり苦戦しました。最後のエッセイはとにかく時間が足りなく、ほとんど適当に書き殴った感じで最悪の出来でした。
 試験直後の手応えは、「ひょっとしたら50点割れかも・・・」というぐらいのひどさでしたが、2月に届いた結果は61点(前回53点)でした。曲がりなりにも参考書を1回読んでいたのが地力の強化になったのでしょう。

・昼休み
 昼食は、同じビル内のファーストフードの店で食べました。受験生が大量にいますので、結構待たされましたね。
 また、一日目の昼休みは、勉強をしないで、コーヒーを飲んでくつろぐことにしました。

・AUDIT
 AUDUTも、今回は科目合格を狙っていなかったので、「SASの読み方」を1回読んだだけで受験しました。エッセイ対策も一切やっていません。
 試験が始まってしばらくすると、午前中にも増して体が重いのに気付きました。MCは相変わらず、やってもやっても問題が続き果てしない道を歩いているようです。途中でよっぽどトイレに立って一息入れようかと思いましたが、残り時間が心配になっていたので、そのまま強引に問題を解いていきました。結局MCを全部やり終えるのに、3時間以上もかかってしまいました。
 さあ、大変、残り1時間30分弱でOOAとエッセイを解かなくてはいけません。とりあえず、問題文の短そうな問題からTOEIC並の猛スピードで解いてゆき、残り30分のところでエッセイにかかります。幸い今回のエッセイは、指摘事項を箇条書きにしていけば良いタイプの問題だったので、20分ぐらいで何とかそれらしき答案が書けました。残り10分で、適当に解いたOOAの問題の見直しと、エッセイの解答への付け加えも行うことが出来、それなりの答案が作れました。
 2月に届いた結果は、69点と、勉強量の割に良い点が取れました。(前回55点)

・夕食等
 初日の試験終了後、またF氏、そして会場で知り合った日本人男性と3人で、チキンレストランで夕食をとりました。
 AUDITだけだったF氏ほどではありませんが、とにかく疲れた初日の試験を終えて、つかの間の開放感に浸ることができました。
 ホテルに戻った後は、FAREの年金、リース会計等の復習をしました。

<2日目の試験>
・ARE
 2日目、昨日よりは体調は良いようですが、試験が始まって見ないと本当のところは判りません。ちょっと不安を持ちながら会場へ向かいました。
 前回までの受験では、実はAREの範囲の勉強は全範囲を終えていなかったのですが、今回は、曲がりなりにも全範囲の勉強をしています。出来れば科目合格したい(絶対に科目合格するんだと言い切れないところが少し弱気ですね)と、気合いだけは十分です。
 試験が始まると、心配した体調もまあまあで結構順調です。しかし、復習不足がたたって、税法の細かい数字で思い出せないものが多く、ちょっとあせりました。その代わりシカゴに来てから問題を解いた公会計は、順調に解けました。
 試験後の手応えは、「前回(69点)よりは良いだろう」というもので科目合格しているかどうかは微妙でしたが、2月に届いた結果は76点と無事合格ラインを越えました。

・昼休み
 昼食は、前日と同じ店で簡単にとりました。
 また、最後の悪あがきとして、キャッシュフローの復習をしました。

・FARE
 いよいよ最後のFAREです。今まではほとんど勉強せず、日本の会計知識の延長線上で解いていましたが、今回はちゃんと勉強し、科目合格を狙っています。
 過去の経験から、FAREは時間が余っていたので、1問1問大事に問題を解き始めました。また、エッセイでは、連結貸借対照表作成の問題が1問出ましたが、何とこれが数年前に建設業経理事務士検定で出題されたものとそっくりだったので(注:私は本業で建設業経理事務士の受験指導をしていたことがあります)、かなりラッキーだったと思います。
 ゆっくり問題を解きすぎたせいか、時間は余りませんでした(ちょうど良かった)が、手応えはバッチリで、2月に届いた結果は、88点と結構高得点でした(前回64点)

<試験終了後>
・当日夜
 試験の終了後、ジョンハンコック・センター・ビルの展望台へ行って夜景を楽しんできました(写真)。試験会場のマーチャンダイズマートも見え、「ああ。さっきまであそこで必死になっていたんだ。でも来年は2科目だけの受験にしたいな。」と妙な感傷に浸ったりしました。

・帰国
 試験の翌日はすぐ帰国です。
 9:00ちょうどの飛行機だったのですが、朝、目が覚めると7:30。大急ぎで荷物をまとめてチェックアウトし、タクシーに飛び乗りました。途中、少し渋滞に巻き込まれてハラハラしましたが、8:30にオヘア空港に到着し、無事飛行機に乗り込みました。

 乗り換えのデトロイト空港では、ちょっとしたトラブルがありました。チェックインをしようとした搭乗口のカウンターで「少し待ってくれ」といわれた私は、近くのレストランで軽食をとっていました。すると、待合いスペースにいた客がゾロゾロと外で出ていくではありませんか。事情が飲み込めないままオロオロしていると、警備員に「あなたも早く出なさい」といわれ、訳が分からないまま、一旦外へ出ました.
 他の日本人旅行客に事情を聞くと、手荷物チェックを受けずに空港内に入った人がいたため、全員外へ出て、もう一度荷物チェックを受け直すよう指示があったらしいとのこと。私はまだ正式にチェックインしていないので気が気ではありません。
 やっと再入場できたのは、45分ぐらいたってからでしょうか。予定の飛行機の出発時刻もシフトしていましたが、それでもあと5分ぐらいしかありません。
 「搭乗券はもらえるのかな」と心配しながらも、ダッシュで搭乗口のカウンターへ行きました。そして、とりあえず、"I don't have BOARDING PASS."と言ったところ、すぐに搭乗券を発行してくれました。

 帰りの飛行機は、勉強もする必要がなく、本来ならのんびりしたものです。でも、私の頭の中にはずっと気になっていることがありました。それは、髭剃りと歯磨きです。何しろ朝からドタバタ続きで、髭も歯もそのままだったのです。しかも悪いことに洗面道具は預けた荷物の中です。結局、髭剃りと歯磨きができたのは、関空の手荷物受け取り場でした。

<まとめ>
 今回、実に4回目の受験でやっと2科目合格にこぎ着けました。まあ、受験回数だけ多くて勉強量が少なかったので、時間がかかったのは仕方がないのですが・・・。
 参考までに、過去の得点経緯をまとめておきます。
  AUDIT 43→57→55→69
  LPR  50→53→53→61
  FARE  55→55→64→88
  ARE  45→58→69→76
 こうして見ると、全体的には少しずつ得点を伸ばしているようにも見えますが、ARE以外の科目では、伸び悩んでいる時期がかならずあるのが注目されますね。
 もちろん、伸び悩みの最大の原因は勉強不足でしょうが、AUDITの第2回から第3回のように結構勉強量を増やしたつもりなのに、点数が落ちた回もあります。これは私の想像ですが、その時その時のエッセイ問題の運にかなり左右されている部分も大きいみたいです。


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